ハイスピードバーナとは
ハイスピードバーナは、噴出ノズルから高温高速の火炎を噴出し、今までにないさまざまな効果を持つバーナです。応用範囲も極めて広く、各種の利用技術が開発されています。
※「ハイスピードバーナ」はTGESの登録商標です。
特長と効果
ハイスピードバーナは噴出ノズルから高温高速の火炎を噴出します。
- この噴出速度は200m/sにも及び各種の効果を出します。
- 高速の火炎は20~200倍という炉内ガスを伴流します。
- 大量の伴流ガスは炉内を攪拌し、良好な温度分布が得られます。
- バーナ本教を少なくしても温度分布は良く、コストダウンにつながります。
- 材料に高温高速の火炎を直接あてれば急速加熱が可能になります。
- ハイスピードバーナは、高速気流中でも安定燃焼するため、バーナの設置範囲が限定されません。
ハイスピードバーナは高負荷燃焼室を備えたバーナです。
- 普通の燃焼室の100倍以上、58~116MW/m2(5,000万~1億kcal/m3・h)と超高負荷です。
- 炉体側には特別な燃焼室が不要となり、炉体のコンパクト化、コストダウンにつながります。
ハイスピードバーナは他社の高速度バーナに比べ各種の特長を有しています。
- 噴出速度が大きく、大型炉へも応用できます。(噴出圧力で2~3倍)
- 横向に噴出するL型バーナを使用すれば炉の設計は一段と自由にできます。
- バーナ内部での燃焼率が大きく、また燃焼容量が大きくなっても性能は変りません。(通常20~40%、ハイスピードバーナ60%)
大きなターンダウンを持ち、高過剰空気にも耐えます。
- ターンダウンレシオ1:50、過剰空気率5000%と大きな値を有しています。
- 炉温100℃程度から調節可能で、多目的炉とすることが容易にできます。
使用燃料
次のいずれかに限ります。その他の燃料についてはご相談ください。
都市ガス、天然ガス、LPG-Air62.8MJ/Nm3(15,000kcal/Nm3以下)(オレフィンなどを含むLPGは使用できません。)
仕様
外形寸法・型式名
型式 | HS- 10S |
HS- 20S |
HS- 30S |
HS- 40S |
HS- 10L |
HS- 20L |
HS- 30L |
HS- 40L |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最大 インプット |
KW (gkcal/H) |
116 (100,000) |
233 (200,000) |
349 (300,000) |
465 (400,000) |
116 (100,000) |
233 (200,000) |
349 (300,000) |
465 (400,000) |
バーナ 内圧 |
KPa (mmH2O) |
6.4 (650) |
6.4 (650) |
6.4 (650) |
6.4 (650) |
6.4 (650) |
6.4 (650) |
6.4 (650) |
6.4 (650) |
外形寸法 | Bmm | 520 | 600 | 652 | 656 | 524 | 748 | 757 | 821 |
Cmm | 286 | 350 | 375 | 350 | 290 | 500 | 480 | 515 | |
Dmm | 168 | 212 | 242 | 292 | 168 | 212 | 242 | 292 | |
Emm | 200 | 340 | 376 | 424 | 200 | 340 | 376 | 424 | |
Fmm | 245 | 340 | 376 | 424 | 245 | 340 | 376 | 424 | |
取付ボルト | N-O | 4-M16 | 12-M16 | 12-M16 | 12-M16 | 4-M16 | 12-M16 | 12-M16 | 12-M16 |
接続 | ガス G | 20A PT | 25A PT | 32A PT | 40A PT | 20A PT | 25A PT | 32A PT | 40A PT |
空気 A | 40A PT | 50A PT | 80A PT | 80A PT | 40A PT | 50A PT | 80A PT | 80A PT | |
バーナ重量 (付属品込) |
Kg | 28 | 50 | 71 | 93 | 29 | 62 | 89 | 114 |
温度・空気比制御
オンレシオ+ガスコントロール
図のように空気側とガス側にコントロール弁を入れ、最大燃焼から温度分布を保証できる範囲は空気側のコントロール弁でオンレシオ制御をし、それ以下は均圧弁出側のコントロール弁でガスコントロールとします。炉形状によってはオンレシオ制御あるいはガスコントロールのみのときもあります。
バリアブルレシオコントロール
図のように通常の均圧弁方式をとりますが、この弁は負圧設定(例:ノースアメリカン社バリアブルレシオバルブ等)であり、低燃焼ではエアーリッチ燃焼となります。この結果省エネルギーと温度分布を両立させます。
詳しい配管方法については取扱い説明書を参照ください。
利用技術
ハイスピードバーナを用いた各種の利用技術が開発されています。ここではその一部をご紹介します。
わん曲壁効果
ハイスピードバーナの噴出口に対向する所に、図のようにわん曲を設けて熱流をスムーズに通過させ、ローカルヒートを防止します。ハイスピードバーナを使用する場合の基本です。わん曲は少なくとも250R、できれば300R以上が良好な結果をもたらします。また炉壁など熱流の通る面とバーナ噴出ノズルの中心は100mm程度を標準とします。
わん曲壁効果によるゾーンコントロール
図のように、各ゾーンのバーナ噴出ノズルに対向する場所にわん曲を設けることにより炉内ガスの流れは各ゾーンごとに独立し、ゾーン間の干捗を防止できます。
円筒炉への応用
ベル型あるいはピッ卜式円筒炉などでは従来多数のバーナをつけ温度分布をとっていましたが、ハイスピードバーナを使用すれば1本のバーナで充分な温度分布が得られます。この場合も炉壁とバーナ噴出ノズルの間隔は100mm程度とします。
平面循環式加熱
炉の平面の周囲で熱流を循環させる方式で、台車煙道方式を取ります。炉巾の小さい炉ではわん曲壁だけで充分ですが炉内の広いものでは炉巾方向にストレートバーナを必要とします。他は横向きバーナ(L型)を多用します。
立面循環式加熱-1
巾の広い炉に応用する方式で炉長方向下部にバーナを千鳥に配列し、炉床面を熱流の通路とします。千鳥配列のピッチは1000~1500mm、ピアー高さ300~500mm程度を標準とします。最近のセラミックファイバーを多用した炉では炉床(棟瓦)と炉壁・天井の熱容量の差が大きく、この加熱方法が適しています。排気口はバーナ近傍に設けることが好ましいですが、天井排気も可能です。
立面循環式加熱-2
バーナを天井左右に干烏配列し、立面循環をする方法で、天井高さ2m程度まで適用できます。この場合ガスコントロール方式を原則としますが、配管等をすべて炉の上に設置できるため、狭い場所などに最適です。